こころの健康チェック

下記のような症状があってお困りの方は、こころの不調が考えられます。お気軽にご相談下さい。

こころの健康チェック

  • 物事に興味や楽しみが感じられない
  • 毎日のように憂うつな気分が続く
  • 絶えず不安を感じる
  • 食欲が低下し、体重が減る
  • 毎晩よく眠れない、夜中や早朝に目が覚める
  • ふだんの日常動作でも非常に疲れる、体が重い
  • 毎日のように自分には価値がないと感じる
  • 仕事や家事に集中したり、決断することができない
  • この世から消えてしまいたいと思うことがある

主な精神症状と特徴

うつ病

うつ病とは

うつ病とは、神経伝達物質であるノルエピネフリンあるいはセロトニンの脳内での機能的減少が原因と推定されている病気です。

つまり、うつ病とは、脳の中で作られている神経伝達物質が、体の運動や感覚、また、喜びや悲しみなどを感じるという脳の働きを支えているのですが、その物質の調子が乱れていると考えられています。

うつ病は、非常に多い病気で、米国では女性の 4 人にひとりが、生涯のうちにこの病気になると報告されています。きちんとした治療を受ければ、必ず短期間で治る病気ですが、問題としては、うつ病の人の半分以上が治療を受けていないということです。

うつ病の症状
  • 抑うつ気分
  • 興味、喜びの減退
  • 疲労感
  • 無気力(これらが午前中に強いことが特徴です)
  • 無感動
  • 悲哀感
  • 不安感
  • 焦燥感
  • 自己の過小評価

うつ病の症状は、体にも影響します。例えば、早朝覚醒、食欲低下、月経不順、頭重、肩こりなど。体の不調を感じて、検査を受けても何の異常もない場合は、うつ病の可能性が考えられます。

うつ病の最悪の結果は自殺ですが、適切な治療を受けていればほとんど避けることができます。うつ状態を長引かせず、早期に受診することが必要です。

うつ病の治療

治療は休養と抗うつ薬の服用です。抗うつ薬は、減少している神経伝達物質の量を正常に近い状態に戻します。

うつ病の原因が、職場や、家庭環境にあることもしばしばです。その場合は、環境の調整が重要です。心と身体をゆっくり休めて疲れを癒すことが一番の治療であると言えます。

うつ病は病気だということを理解し、きちんと治療をすることが大切です。専門医院で治療を始めれば、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に治っていきます。あせらず、気長に治療に取り組みましょう。

パニック障害

パニック障害とは

一般的に「パニック」というのは、災害など、思いがけない事態に見舞われた際に起きる混乱状態で、どんな人もパニックに陥る可能性はあります。普段は冷静な人が予期できない衝撃的な事態が起こった際に、落ち着きをなくしてしまうということがパニックに陥る、ということです。

「パニック障害」というのは、実際には何も特別な事態が起きていないのに、落ち着きをなくし、混乱状態になってしまう病気で、その症状は繰り返し起こります。予知できない、また、反復性の重篤な不安(パニック)発作であると言えます。

パニック障害の症状

1)発作時

  • 動悸
  • 息苦しい
  • 窒息感
  • 過呼吸
  • 胸痛
  • めまい
  • 汗をかく
  • 自分をコントロールできないという恐れ
  • 震える
  • 手足がしびれる
  • 頻尿
  • 腹痛や下痢
  • 吐き気

2)発作の起きていないとき

発作が起きていない時にも、また発作が起こるのではないかという「予期不安」をしばしば体験します。特定の場所に対する「予期不安」が強まると、次の「広場恐怖」と呼ばれる症状になります。

典型的なパニック障害のケースでは、混雑した地下鉄内や雑踏で、上に挙げたような発作が起こりますが、その場合発作が起きた場所にまた行くことが恐くなり、それを避けます。これが「広場恐怖」です。映画館や、地下の狭いレストラン、車、教室などが対象になることもあります。いずれも、すぐには逃げ出せない場所とイメージされるようです。

3)発作以外の症状

パニック障害の経過中に、 うつ病をしばしば併発することが知られています。逆に うつ病の患者様が、経過中にパニック発作を起こすこともよくあります。また、若年でパニック障害を発症すると、 うつ病だけでなく他の様々な精神疾患を併発する割合が高くなるという報告もあります。いずれにしても、早期からの治療が重要です。

パニック障害の治療

パニック障害は、脳の機能的障害が基にあり、それに心理社会的ストレスが加わって発症すると考えられています。

多くの場合、症状に対して薬物がとても有効です。しかし、副作用が生じる場合もありますので、いかに副作用を少なくし、治療を続けていくかが私たちの役割です。治療により発作が消失しても、すぐに服薬をやめてしまうと、ほとんどの方が再発してしまいます。したがって、発作がなくなっても1~2年間維持療法を続けることが、次に述べる完治を目指すためにも重要です。

最も確かな調査によると、この病気は専門家による治療を受ければ、 30 %の患者様は完治し、 40 ~ 50 %の患者様は明らかに改善し、 20 ~ 30 %の患者様は残念ながら改善を認めません。しかし、この病気の研究は進んでおり、今後はもっと良い治療成績が期待できると思っています。

パニック障害を克服するコツ

治療以外にも、この病気を克服するための生活面でのコツがあります。カフェインは発作を誘発します。この物質はコーヒーだけでなく、栄養ドリンクや清涼飲料水の一部にも含まれています。ご注意ください。二酸化炭素も誘因となります。換気の悪い場所は避けた方が良いでしょう。発作が起きた時に、助けてくれる人がいると思うだけで、患者様は安心感をもつことができます。発作が充分にコントロールされるまでは、患者様の外出にご家族や、友人が同伴することは、とても助けになります。

いずれにしても、最も重要なのは、早期から専門医の治療を受けることです。

その他の病気

躁うつ病(双極性障害)

かつて躁うつ病と呼ばれていた病気を、現在では双極性障害と呼びます。この中で、双極I型とされるものは、経過の中でうつ病相と躁病相の両者を呈します。うつ病相でみられる症状は、うつ病と同じ症状です。
躁病相の時はアイデアが次々と湧いたり、注意が次々と別のものに移ったり、誇大妄想、早朝覚醒などがみられます。双極II型とされるものは、うつ病相と軽躁状態を呈します。自殺率が高いのが特徴で、注意を要します。
治療は、うつ病相ではその改善、躁病相ではその改善ということになるのですが、再発性が非常に高く、しばしば長期にわたる再発予防療法を必要とします。その際は気分安定薬と呼ばれる薬剤が、主役となります。

総合失調症

120人に1人位がかかる病気で、自立を試みる20歳前後に起こりやすく、男性のほうが早く発病します。進学や就職の失敗、失恋などがきっかけとなって発病することもありますが、一時的なことと考えないほうがよいでしょう。
初期には、不眠や頭痛、疲れやすさなど心身の不調を訴えたり、元気がなくなり閉じこもりがちになることがあります。また逆に急に猛勉強を始めたり、占いや宗教に凝りだすこともあります。そのうち、誰も何も言っていないのに人の話し声が聴こえてきたり、電車の中の他人の会話が自分の悪口に思えたり、人込みの中に行くと「見られている」とおびえたり、迫害されていると信じてしまう方が多いようです。
初発であれば、治療で70%以上の方が回復します。大切なのは再発の予防です。なぜならきちんとした治療を続けないと、非常に再発しやすい病気で、再発した場合完全には回復しないこともあるからです。また初期には患者さんご自身は、病気ではないと思っている場合がほとんどです。したがってご家族の協力も重要です。回復過程では、デイ・ケアの利用なども有効です。

睡眠障害

一般的に、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害(浅眠感)などに分けられています。入眠障害や中途覚醒は精神生理性不眠(一種の不眠恐怖症で、一般に不眠症と呼ばれるものの大半を占めます)で、早朝覚醒はうつ病や躁状態でしばしばみられます。しかし、統合失調症(精神分裂病)やノイローゼ(神経症)などの疾患も、最初期症状は睡眠障害であることがしばしばなので注意してください。
いずれにしてもわたくし達が治療する場合、ただ睡眠薬を出すのではなく、その背後にあるものを入念にチエックします。そしてうつ状態であれば先ず抗うつ剤により改善を目指します。睡眠薬を投与する場合も、漫然と長期投与はいたしません。

対人恐怖症(社会不安障害)

比較的小人数の集団内で(パニック障害のような雑踏とは対照的に)他の人々から注視される恐れを中心として、そのような状況を回避するようになる病気です。症状としては、赤面、手のふるえ、吐き気あるいは頻尿などがあります。家族と居る時や、人ごみの中では症状は起こりません。社会恐怖とも呼ばれています。なかなか治りにくい病気ですが、精神療法や、自律訓練法、薬物療法を組み合わせることによって、症状は今よりずいぶん楽になります。

不安障害

病像の中心は全般的・持続的で、いかなる特殊な周囲の状況にも限定されない不安です。主要症状はきわめてさまざまですが、たえずいらいらしている、手や体のふるえ、筋肉の緊張、発汗、頭のふらつき、動悸、めまいとみぞおちの不快などがよくみられます。他の精神的障害を合併する比率が高いことが知られています。したがって、早期からの治療が、とても重要です。

死別反応

近親者の死に伴って現れる精神症状です。最も多いのが抑うつ状態ですが、急な事故でお子様を亡くされたりすると錯乱状態になることもあります。実際に多いのは中高年層で、配偶者を亡くされた場合です。平均寿命の関係もあり、女性の方が多いのが現状です。生前仲が良ければ良いほど、また死亡について後悔(もっと体調を気遣ってあげてたら、もっと早く救急車を呼んでいたら)していればしているほど、症状は長引きます。
抑うつ状態の場合、治療はうつ病と同じです。早く立ち直るコツは、お茶やお花の教室、フィットネスクラブなどに入って、仲間を作ることです。すると自然にお茶や食事、旅行に誘われ、だんだんと回復していきます。